2011年10月31日

書き損じた領収書

 長い間同じ業界で仕事をしていると、その業界では常識だと思われていることが、一般の方の感覚とずれていて驚くことがあります。税理士の仕事でも、そうしたことが時々ありますので、紹介してみたいと思います。

 業者さんが営業して商品を販売すると、領収書を発行します。その際よく使われるのが、カーボン複写で控を同時に書けるタイプです。では、その領収書を書き損じてしまった場合、一般の方はどうするでしょうか。私のお客様からよく聞かれる対応が、「カッコ悪いから切り取って捨てちゃいました。」というものです。

 領収書の控は売上の証拠を残すために作成します。これを切り取って捨ててしまうと、税務署の職員が切り取った跡に注目し、「この分の領収書の売上を隠しているのではないか。」と疑われてしまうのです。ですから、書き損じた領収書には、「書き損じ」と大きく書いて、そのまま残しておくのが正しい対応です。税務の世界では常識なのですが、お客様にこうしたご説明をすると、「なるほど、そんな影響があるんですねぇ。」と感心される場合が殆どです。こうしたことがあると、常にお客様の視点に立って業務を行わないといけないな、と改めて感じます。

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